パレットタウンにひっそり残る閉鎖されたT字路の話
2021/11/07 都市博での資料を追加して文言を修正しました
リーマンショックによる計画延期から音沙汰がなかったパレットタウンの再開発。それがいよいよ始まることとなり、見慣れた大観覧車やヴィーナスフォートも姿を消すことになりました。
ST区画に面した歩道も新しい施設に合わせて再整備されそうですが、それならこの不自然なT字路も姿を消すのでしょうか。
今回は街開発ゲームに出てきそうな変なT字路について少し追ってみた話です。
これは何?
このT字路はゆりかもめ 青海駅のすぐ脇にあり、MEGA WEBの建物にぶつかるように途切れています。そのため普段は車が入れないよう封鎖され車道部分にはレンタルサイクルの駐輪場が設けられています。あまり意識的に通る場所ではないので気付きにくいと思います。
計画図や地図から分かる道路の存在
1996年刊行の『東京臨海副都心基盤整備工事誌』ではシンボルプロムナード公園の将来図にこのT字路と続く道路が描かれています。
どうやらセンタープロムナードを抜けて現在の青海橋の近くに出るような道路が計画されていたようです。脱線しますが、この図からはスカイウェイが青海駅側にも整備されることもわかります。スカイウェイとは臨海副都心に少なくとも3本計画されていた立体交差橋で始動期に唯一完成したのがテレポートブリッジです。
次に「航空空中写真サービス」から1997年のお台場をみてみましょう。
青海駅の脇にT字路と道路のようなものが見えます。東京テレポート駅や夢の広場に繋がる道として使用されていたのでしょうか。パレットタウン開業後(2000年)の航空写真では既に道の面影はありません。MEGA WEBを突っ切って使用されていたとかであれば異なるのですが...。
次に臨海副都心が街びらきした年(1996年)のゼンリン地図を見てみます。
あ、ばっちり載ってますね。というわけで道路が敷かれていたようです。センタープロムナードとの接続部分は変な曲がり方をしていて不思議な感じは拭えませんが...。航空写真での見た目といいあまり整備された道路ではなかったのかもしれません。
世界都市博覧会での様子
ちなみに、1996年に計画された世界都市博覧会の計画図にもこのT字路は見られます。元から作る予定だったようです。それでもT字路の先に道があるわけではなさそうです。うーん、不思議。
この一帯はビッグサイトへ行くゴンドラリフトの駅や「ザ・リング」と呼ばれるシンボル施設が設けられる計画でしたが、中止により更地に戻り、持て余した土地をパレットタウンとして10年限定で貸し出すことになります。
終わりに
このT字路はパレットタウン建設まで利用されていたようです。細かいことまでは追えていませんが、青海ST区画は当時格安で貸し出された経緯や10年限定ということで再整備せずに残したのでしょうか...。ある意味で始動期から残る貴重なスポットですね。
そんな始動期の面影を残す場所も再開発で姿を消すかもしれません。
紹介:お台場オブジェマップ
お台場・有明 (東京臨海副都心)に点在するオブジェや珍しいものを紹介するホームページを作りました。このT字路も青海地区のページで掲載しています。よろしければご覧下さい。